紫式部集 第九部:宮中と女房

詳解
定家本
和歌 人物
99
異90
多かりし 豊の宮人 さしわきて
 しるき日蔭を あはれとぞ見し
紫式部
100
異95
三笠山 同じ麓を さしわきて
 霞に谷の 隔てつるかな
隣の中将
101
異96
さし越えて 入ることかたみ 三笠山
 霞吹きとく 風をこそ待て
紫式部
102
異97
埋もれ木の 下にやつるる 梅の花
 香をだに散らせ 雲の上まで
紫式部
103
異98
に 匂ふを見れば がり
 ねて来たる 春の盛りか
紫式部
104
異99
神代には ありもやしけむ 山
 今日の挿頭に 折れるためしは
紫式部
105
異100
改めて 今日しもものの 悲しきは
 身の憂さやまた さま変はりぬる
紫式部
106
異101
めづらしと し思はば 着て見えむ
 摺れるの ほど過ぎぬとも
紫式部
107
異102
さらば 山藍の衣 過ぎぬとも
 恋しきほどに 着ても見えなむ
弁宰相の君