枕草子4段 三月三日は

正月一日は 枕草子
上巻上
4段
三月三日は
四月、祭の頃

(旧)大系:4段
新大系:2段、新編全集:3段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず、混乱を招くので、三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:3段
 


 
 三月三日は、うらうらとのどかに照りたる。桃の花のいまさきはじむる。柳などをかしきこそさらなれ、それもまだまゆにこもりたるはをかし。ひろごりたるはうたてぞみゆる。
 

 おもしろくさきたる桜をながく折りて、おほきなる瓶にさしたるこそをかしけれ。桜の直衣に出袿して、まらうどにもあれ、御せうとの君たちにても、そこちかくゐて物などうちいひたる、いとをかし。