紫式部集75 ただならじ:原文対訳・逐語分析

74夜もすがら 紫式部集
第七部
栄花と追憶

75ただならじ
異本130:日記歌16
(古本巻末日記歌は日記と順不同)
76女郎花
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
返し、  返歌、  
     
ただならじ ただ事では済まないことと、  
戸ばかり叩く 戸ばかりを叩く 【戸ばかり】-「戸ばかり」と「とばかり」の掛詞。
水鶏ゆゑ 水鶏ゆえに 【ゆゑ】-「ゆへ」は平安の仮名遣い。
開けてはいかに 戸を開けたらどんなに  
悔しからまし 悔しい思いをしたことでしょう 【悔しからまし】-反実仮想の助動詞「まし」終止形。悔しい思いをしたことでしょうに、実は開けなかったのでそうはならなかった、意。
     

参考異本=本人日記歌+後世の二次資料

*「ただならじとばかりたたくくひなゆゑあけてはいかにくやしからまし」(黒川本「紫日記」一八)
*「返し  紫式部
ただならじとばかりたたくくひなゆゑあけてはいかにくやしからまし」(樋口芳麻呂氏本「新勅撰集」恋五 一〇二〇)