枕草子228段 九月二十日あまりのほど

八月つごもり 枕草子
中巻下
228段
九月二十日
清水などに

(旧)大系:228段
新大系:211段、新編全集:212段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず混乱を招くので、以後最も索引性に優れる三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:ナシ
 

段冒頭:九月廿日(新旧大系)、九月二十日(新編全集)
(ここは「二十」表記で問題ないと思う。独自の私見では20丁度なら「二十」、端数(あまり)があると「廿」になると解する(大系278段「廿一日」「二十ばかり」、古い時代の本にもこの法則は妥当するので参照)。ここでは「あまり」がついて頓知めいた限界事例でどちらもあると思うが、字面から「二十」とした)


 
 九月二十日あまりのほど、長谷に詣でて、いとはかなき家にとまりしに、いと苦しくて、ただ寝に寝入りぬ。
 

 夜ふけて、月の窓より洩りたりしに、人の臥したりしどもが衣の上に、しろうてうつりなどしたりしこそ、いみじうあはれとおぼえしか。さやうなるをりぞ、人歌よむかし。
 
 

八月つごもり 枕草子
中巻下
228段
九月廿日
清水などに