徒然草3段 よろづにいみじくとも:原文

いにしへの聖 徒然草
第一部
3段
よろづに
後の世

 よろづにいみじくとも、色好まざる男は、いとさうざうしく、玉の巵の当なき心地ぞすべき。
 

 露霜にしほたれて、所定めずまどひありき、親のいさめ、世のそしりをつつむに心のいとまなく、あふさきるさに思ひ乱れ、さるは独り寝がちに、まどろむ夜なきこそをかしけれ。
 

 さりとて、ひたすらにたはれたる方にはあらで、女にたやすからず思はれんこそ、あらまほしかるべきわざなれ。