枕草子247段 雪高う降りて

身をかへて 枕草子
下巻上
247段
雪高う降り
細殿の遣戸

(旧)大系:247段
新大系:229段、新編全集:230段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず混乱を招くので、以後は最も索引性に優れ三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:ナシ
 


 
 雪高う降りて、今もなほ降るに、五位も四位も、色うるはしうわかやかなるが、上のきぬの色いときよらにて、かはのおびのかたつきたるを、宿直姿にて、ひきはこえて、紫の指貫も雪に冴え映えて、濃さまさりたるを着て、衵の紅ならずは、おどろおどろしき山吹を出だして、からかさをさしたるに、風のいたう吹きて橫さまに雪を吹きかくれば、少しかたぶけて歩み来るに、深き履、半靴などのはばきまで雪のいと白うかかりたるこそをかしけれ。
 
 

身をかへて 枕草子
下巻上
247段
雪高う降り
細殿の遣戸