| 原文 |
書き下し （武田祐吉） |
現代語訳 （武田祐吉） |
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故爾詔 天宇受賣命。 |
かれここに 天の宇受賣の命に 詔りたまはく、 |
ここに アメノウズメの命に 仰せられるには、 |
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此立御前所 仕奉。 |
「この御前に立ちて 仕へまつれる |
「この御前に立つて お仕え申し上げた |
| 猿田毘古大神者。 | 猿田さるた毘古の大神は、 | サルタ彦の大神を、 |
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專所顯申之汝。 送奉。 |
もはら顯し申せる汝 いまし送りまつれ。 |
顯し申し上げたあなたが お送り申せ。 |
| 亦其神御名者。 | またその神の御名は、 | またその神のお名前は |
| 汝負仕奉。 |
汝いまし負ひて仕へまつれ」 とのりたまひき。 |
あなたが受けてお仕え申せ」 と仰せられました。 |
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是以 猿女君等。 |
ここを以ちて 猿女さるめの君等、 |
この故に 猿女さるめの君等は |
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負其 猿田毘古之 男神名而。 |
その猿田毘古の 男神の名を 負ひて、 |
そのサルタ彦の 男神の名を 繼いで |
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女呼 猿女君之事 是也。 |
女をみなを 猿女の君と 呼ぶ事これなり。 |
女を 猿女の君 というのです。 |
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故其 猿田毘古神。 |
かれ その猿田毘古の神、 |
そのサルタ彦の神は |
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坐阿邪訶 〈此三字 以音地名〉時。 |
阿耶訶 あざかに 坐しし時に、 |
アザカに おいでになつた時に、 |
| 爲漁而。 | 漁すなどりして、 | 漁すなどりをして |
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於比良夫貝。 〈自比至夫以音〉 |
比良夫ひらぶ貝に | ヒラブ貝に |
| 其手見咋合而。 | その手を咋ひ合はさえて | 手を咋くい合わされて |
| 沈溺海鹽。 | 海水うしほに溺れたまひき。 | 海水に溺れました。 |
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故其沈居 底之時名。 |
かれその底に 沈み居たまふ時の名を、 |
その海底に 沈んでおられる時の名を |
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謂底度久御魂。 〈度久 二字以音〉 |
底そこどく御魂みたまといひ、 | 底につく御魂みたまと申し、 |
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其海水之 都夫多都時名。 |
その海水の つぶたつ時の名を、 |
海水に つぶつぶと泡が立つ時の名を |
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謂 都夫多都 御魂。 〈自都下四字以音〉 |
つぶ立つ 御魂みたまといひ、 |
粒立つぶたつ 御魂と申し、 |
| 其阿和佐久時名。 | その沫あわ咲く時の名を、 | 水面に出て泡が開く時の名を |
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謂阿和佐久御魂。 〈自阿至久以音〉 |
あわ咲く御魂みたまといふ。 | 泡咲あわさく御魂と申します。 |
ここでサルタを受け、ウズメがサルメになるのは、地上への受肉を象徴している。
ウズメは、産む女性のこと。それを一般化している表現。
なので、ここで貝と手と合わせが出てきて、海水（つまり潮）に溺れ、アワが立ったとかいうのは、そういう行為を象徴している。
そこにアワサク御魂とはその先の受肉のこと。サルタの神の神は精神、この文脈では精子。