大鏡の和歌一覧74首(流布本81首)漢詩5首。合計古本79首、流布本86首。
これらを原文に通じさせ、語り手を色で示した。
| 大宅世次(世継) | 61首 |
|---|---|
| 夏山重木(繁樹) | 16首 |
| 侍めきたる者 | 1首 |
| 重木/繁樹の妻 | 1首 |
| 古本合計 | 79首 |
| 二の舞の翁 | 7首 |
| 流布本含む計 | 86首 |
※世次、重木が古写本による正式表記で、世継・繁樹は通称(大系・全集同旨)。
漢詩は全て世次。裏返すと世次による和歌は56首。
これらの数は多角的対をなしており、計算された構成と解すべきものであち、そうでなければ全体通じ重木に準じて話した侍が、最後に一瞬だけ出て来た重木の妻と同じ句数なのは極めて不自然だろう。
ちなみに大臣篇で一人だけ大臣を冠さない者(権中納言従二位左兵衛督 長良)がいるが、この者が全体で中心の配置となっている(独自)。
| 原文題 | 和歌 | 漢詩 | |
|---|---|---|---|
| 16 | 一 左大臣冬嗣 | ||
| 17 | 一 太政大臣良房 | 2 | |
| 18 | 一 右大臣良相 | ||
| 19 |
一 権中納言従二位 左兵衛督長良 |
||
| 20 | 一 太政大臣基経 | 2 | |
| 21 | 一 左大臣時平 | 10 | 4 |
| 22 | 一 左大臣仲平 | 3 | |
| 23 | 一 太政大臣忠平 | ||
| 24 | 一 太政大臣実頼 | 2 | |
| 25 | 一 太政大臣頼忠 | 1 | |
| 26 | 一 左大臣師尹 | 3 | |
| 27 | 一 右大臣師輔 | 5 | |
| 28 | 一 太政大臣伊尹 | 8 | 1 |
| 29 | 一 太政大臣兼通 | 1 | |
| 30 | 一 太政大臣為光 | ||
| 31 | 一 太政大臣公季 | 1 | |
| 32 | 一 太政大臣兼家 | 2 | |
| 33 | 一 内大臣道隆 | ||
| 34 | 一 右大臣道兼 | 1 | |
| 35 | 一 太政大臣道長 | 5 | |
| 36 | (藤原氏物語) | 1 | |
| 37 | 一 太政大臣道長(下) | 19 | |
| 38 |
△流布本のみ :後日物語 /二の舞の翁の物語 |
(7) | |
| 計 |
74 (81) |
5 |
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三巻本系 京大本底本 |
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|---|---|
一 五十九代 宇多天皇 |
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| 1 |
ちはやぶる 賀茂の社の 姫小松 よろづ代経とも 色は変はらじ |
一 六十代 醍醐天皇 |
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| 2 |
ひととせに こよひかぞふる 今よりは ももとせまでの 月影を見む |
| 3 |
いはひつる 言霊ならば ももとせの 後もつきせぬ 月をこそ見め |
一 六十一代 朱雀院 |
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| 4 |
松も生ひ またも影さす 石清水 行末遠く 仕へまつらむ |
一 六十二代 村上天皇 |
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| 5 |
わびぬれば 今はとものを 思へども 心に似ぬは 涙なりけり |
| 6 |
今はとて み山を出づる 郭公 いづれの里に 鳴かむとすらむ |
一 六十八代 後一条院 |
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| 7 |
あきらけに 鏡にあへば 過ぎにしも 今ゆく末の ことも見えけり |
| 8 |
すべらぎの あともつぎつぎ かくれなく あらたに見ゆる 古鏡かも |
一 太政大臣良房 |
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| 9 |
年経れば よはひは老いぬ しかはあれど 花をし見れば もの思ひもなし |
| 10 |
血の涙 落ちてぞたぎつ 白川は 君が世までの 名にこそありけれ |
一 太政大臣基経 |
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| 11 |
うつせみは からを見つつも 慰めつ 深草の山 煙だに立て |
| 12 |
深草の 野辺の桜し 心あらば 今年ばかりは 墨染に咲け |
一 左大臣時平 |
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| 13 |
東風吹かば にほひおこせよ 梅の花 あるじなしとて 春を忘るな |
| 14 |
流れゆく 我は水宵と なりはてぬ 君しがらみと なりてとどめよ |
| 15 |
君が住む 宿の梢を ゆくゆくと かくるるまでも かへり見しはや |
| 16 |
駅長莫驚時変改
駅長驚クコトナカレ、時ノ変改 |
| 17 |
夕されば 野にも山にも 立つ煙 なげきよりこそ 燃えまさりけれ |
| 18 |
山わかれ 飛びゆく雲の かへり来る かげ見る時は なほ頼まれぬ |
| 19 |
海ならず たたへる水の そこまでに きよき心は 月ぞ照らさむ |
| 20 |
都府楼纔看瓦色
都府楼ハ纔ニ瓦ノ色ヲ看ル |
| 21 |
去年今夜侍清涼
去年ノ今夜ハ清涼ニ侍リキ |
| 22 |
恩賜御衣今在此
恩賜ノ御衣ハ今此ニ在リ |
| 23 |
あめのした かわけるほどの なければや きてし濡衣 ひるよしもなき |
| 24 |
つくるとも またも焼けなむ すがはらや むねのいたまの あはぬかぎりは |
| 25 |
時の間も 慰めつらむ 君はさは 夢にだに見ぬ 我ぞかなしき |
| 26 |
恋しさの 慰むべくも さらざりき 夢のうちにも 夢と見しかば |
一 左大臣仲平 |
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| 27 |
花薄 われこそしたに 思ひしかほに 出でて人に むすばれにけり |
| 28 |
おそくとく つひに咲きぬる 梅の花 たが植ゑおきし 種にかあるらむ |
| 29 |
人知れず やみなましかば わびつつも 無き名ぞとだに 言はましものを |
一 太政大臣実頼 |
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| 30 |
まだ知らぬ 人もありけり 東路に 我もゆきてぞ 住むべかりける |
| 31 |
うれしきは いかばかりかは 思ふらむ 憂きは身にしむ 心地こそすれ |
一 太政大臣頼忠 |
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| 32 |
をぐら山 あらしの風の さむければ もみぢの錦 きぬ人ぞなき |
一 左大臣師尹 |
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| 33 |
生きての生 死にてののちの 後の世も はねをかはせる 鳥となりなむ |
| 34 |
秋になる ことの葉だにも かはらずは われもかはせる 枝となりなむ |
| 35 |
雲居まで 立ちのぼるべき 煙かと 見えし思ひの ほかにもあるかな |
一 右大臣師輔 |
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| 36 |
ひかりいづる あふひのかげを 見てしより 年積みけるも うれしかりけり |
| 37 |
もろかづら 二葉ながらも 君にかく あふひや神の ゆるしなるらむ |
| 38 |
みやこより 雲のうへまで 山の井の 横川の水は すみよかるらむ |
| 39 |
九重の うちのみつねに こひしくて 雲の八重たつ 山はすみ憂し |
| 40 |
吹く風に こほりとけたる 池の魚 千代まで松の かげにかくれむ |
一 太政大臣伊尹 |
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| 41 |
暮ればとく ゆきて語らむ 逢ふことは とをちの里の 住み憂かりしも |
| 42 |
逢ふことは とをちの里に ほど経しも 吉野の山と 思ふなりけむ |
| 43 |
さは遠く うつろひぬとか きくの花 折りて見るだに 飽かぬ心を |
| 44 |
しかばかり 契りしものを 渡り川 かへるほどには 忘るべしやは |
| 45 |
しぐれとは 蓮の花ぞ 散りまがふ なにふるさとに 袖濡らすらむ |
| 46 |
昔契蓬莱宮裏月
昔ハ契リキ、蓬莱宮ノ裏ノ月ニ |
| 47 |
旅の空 夜半のけぶりと のぼりなば 海人の藻塩火 焚くかとや見む |
| 48 |
世の中に ふるかひもなき たけのこは わが経む年を たてまつるなり |
| 49 |
年経ぬる 竹のよはひを 返しても この世をなが くなさむとぞ思ふ |
一 太政大臣兼通 |
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| 50 |
ことに出でて 心のうちに 知らるるは 神のすぢなは ぬけるなりけり |
一 太政大臣公季 |
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| 51 |
ゆきやらで 山路くらしつ ほととぎす いま一声の 聞かまほしさに |
一 太政大臣兼家 |
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| 52 |
嘆きつつ ひとり寝る夜の あくるまは いかにひさしき ものとかはしる |
| 53 |
げにやげに 冬の夜ならぬ 槙の戸も おそくあくるは 苦しかりけり |
一 右大臣道兼 |
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| 54 |
とをつらの 馬ならねども 君乗れば 車もまとに 見ゆるものかな |
一 太政大臣 道長 |
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| 55 |
そのかみや 祈りおきけむ 春日野の おなじ道にも たづねゆくかな |
| 56 |
曇りなき 世の光にや 春日野の おなじ道にも たづねゆくらむ |
| 57 |
三笠山 さしてぞ来つる いそのかみ 古きみゆきの あとをたづねて |
| 58 |
ありなれし 契りは絶えて いまさらに 心けがしに 千代といふらむ |
| 59 |
おと宮の 産養を あね宮の したまふ見るぞ うれしかりける |
(※藤原氏物語) |
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| 60 |
年を経て 待ちつる松の 若枝に うれしくあへる 春のみどりご |
一 太政大臣 道長 下 |
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| 61 |
ちはやぶる 賀茂の社の 姫小松 よろづ代までも 色はかはらじ |
| 62 |
松もおひ またも苔むす 石清水 ゆく末とほく つかへまつらむ |
| 63 |
別るれど あひも思はぬ ももしきを 見ざらむことや なにかかなしき |
| 64 |
身ひとつの あらぬほかりを おしなべて ゆきかへりても などか見ざらむ」 |
| 65 |
水ひきの 白糸はへて 織るはたは 旅のころもに たちやかさねむ |
| 66 |
小倉山 紅葉の色も こころあらば いまひとたびの みゆきまたなむ |
| 67 |
わびしらに ましらななきそ あしひきの 山のかひある 今日にやはらぬ |
| 68 |
日のひかり 出でそふ今日の しぐるるは いづれの方の 山辺なるらむ |
| 69 |
白雲の おりゐる方や しぐるらむ おなじみ山の ゆかりながらに |
| 70 |
くれ竹の わが世はことに なりぬとも ねは絶えせずぞ なほなかるべき |
| 71 |
勅なれば いともかしこし うぐいすの 宿はと問はば いかが答へむ |
| 72 |
秋の日の あやしきほどの 夕暮に 荻吹く風の おとぞきこゆる |
| 73 |
都には 待つらむものを 逢坂の 関まで来ぬと 告げややらまし |
| 74 |
ちはやぶる 神の御前の 橘も もろきもともに 老いにけるかな |
| 75 |
浜千鳥 飛びゆくかぎり ありければ 雲立つ山を あはとこそ見れ |
| 76 |
ふかみどり かひある春に あふ時は かすみならねど たちのぼりけり |
| 77 |
こと夏は いかが鳴きけむ ほととぎす この宵ばかり あやしきぞなき |
| 78 |
照る月を 弓はりとしも いふことは 山辺をさして いればなりけり |
| 79 |
白雲の このかたにしも おりゐるは 天つ風こそ 吹き手きぬらし |
流布本のみ:後日物語/二の舞の翁の物語 |
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| 80 |
かけまくも かしこぎ君が 雲のうへに 煙かからむ ものとやは見し |
| 81 |
一言を 君に告げなむ ほととぎす このさみだれは 闇にまどふと |
| 82 |
身を捨てて 宿を出でにし 身なれども なは恋しきは 昔りけり |
| 83 |
時の間も 恋しきことの なぐさまば 世はふたたびも そむかれなまし |
| 84 |
今はただ 雲居の月を ながめつつ めぐりあふべき ほども知られず |
| 85 |
もろともに かけし菖蒲の ねを絶えて さらにこひぢに まどふ頃かな |
| 86 |
かたがたに ひき別れつつ あやめ草 あらぬねをやは かけむと思ひし |
