古事記 敏達天皇~原文対訳

6 欽明天皇 古事記
下巻⑧~推古
(系譜のみ十帝)
7 敏達天皇
(びだつ)
8 用明天皇
目次
(他田宮)
后妃・皇子女
(川内科長)

 

敏達天皇(びたつ)

原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)

宮(他田宮)

     
沼名倉
太玉敷命。
 御子
沼名倉太玉敷
ぬなくらふとたましきの命、
 御子の
ヌナクラ
フトタマシキの命(敏達天皇)、
坐他田宮。 他をさ田の宮にましまして、 大和の
他田おさだの宮においでになつて、
治天下
壹拾肆歲也。
一十四歳とをまりよとせ、
天の下治らしめしき。
十四年
天下をお治めなさいました。
     

后妃・皇子女

     
此天皇。 この天皇、 この天皇は

庶妹。
豐御食
炊屋比賣命。
庶妹ままいも
豐御食炊屋
とよみけかしぎや比賣の命に
娶ひて、
庶妹
トヨミケ
カシギヤ姫の命と
結婚して
生御子。 生みませる御子、 お生みになつた御子は
靜貝王。亦名
貝鮹王。
靜貝しづかひの王、またの名は
貝鮹かひだこの王、
シヅカヒの王、またの名は
カヒダコの王・
次竹田王。亦名
小貝王。
次に竹田の王、またの名は
小貝をがひの王、
タケダの王、またの名は
ヲカヒの王・
次小治田王。 次に小治田をはりだの王、 ヲハリダの王・
次葛城王。 次に葛城の王、 カヅラキの王・
次宇毛理王。 次に宇毛理うもりの王、 ウモリの王・
次小張王。 次に小張をはりの王、 ヲハリの王・
次多米王。 次に多米ための王、 タメの王・
次櫻井玄王。 次に櫻井の
玄ゆみはりの王
サクラヰノ
ユミハリの王
〈八柱〉 八柱。 のお八方です。
     
又娶
伊勢
大鹿首之女。
小熊子郎女。
また伊勢の
大鹿おほかの首おびとが女、
小熊をくま子の郎女に
娶ひて、
また伊勢の
オホカの首おびとの女の
ヲクマコの郎女と
結婚して
生御子。 生みませる御子、 お生みになつた御子は
布斗比賣命。 布斗ふと比賣の命、 フト姫の命・
次寶王。亦名
糠代比賣王。
次に寶の王、またの名は
糠代ぬかで比賣の王
タカラの王、またの名は
ヌカデ姫の王
〈二柱〉 二柱。 のお二方です。
     
又娶
息長眞手王之女。
比呂比賣命。
また
息長眞手
おきながまての王が女、
比呂ひろ比賣の命に娶ひて、
また
オキナガノ
マテの王の女の
ヒロ姫の命と結婚して
生御子。 生みませる御子、 お生みになつた御子は
忍坂
日子人太子。
亦名
麻呂古王。
忍坂おさかの
日子人ひこひとの
太子みこのみこと、
またの名は
麻呂古の王、
オサカノ
ヒコヒトの太子、
またの名は
マロコの王・
次坂騰王。 次に坂騰のぼりの王、 サカノボリの王・
次宇遲王。 次に宇遲うぢの王 ウヂの王
〈三柱〉 三柱。 のお三方です。
又娶
春日
中若子之女。
老女子郎女。
また春日の
中なかつ若子わくごが女、
老女子おみなこの郎女に
娶ひて、
また春日の
ナカツワクゴの王の女の
オミナコの郎女と
結婚して
生御子。 生みませる御子、
お生みになつた御子は
難波王。 難波の王、 ナニハの王・
次桑田王。 次に桑田の王、 クハタの王・
次春日王。 次に春日の王、 カスガの王・
次大俣王。 次に大俣おほまたの王 オホマタの王
〈四柱〉 四柱。 のお四方です。
     
此天皇之御子等。 この天皇の御子たち  この天皇の御子たち
并十七王之中。 并せて十七王
とをまりななはしらの中に、
合わせて十七王
おいでになつた中に、
日子人太子。 日子人の太子、 ヒコヒトの太子は

庶妹田村王。
亦名
糠代比賣命。
庶妹ままいも田村の王、
またの名は
糠代ぬかで比賣の命に娶ひて、
庶妹タムラの王、
またの名は
ヌカデ姫の命と
結婚して
生御子。 生みませる御子、 お生みになつた御子が、
坐岡本宮。
治天下之天皇。
岡本の宮にましまして、
天の下治らしめしし天皇、
岡本の宮においでになつて
天下をお治めなさいました天皇
(舒明天皇)・
次中津王。 次に中つ王、 ナカツ王・
次多良王。 次に多良たらの王 タラの王
〈三柱〉 三柱。 のお三方です。
     
又娶
漢王之妹。
大俣王。
また
漢あやの王が妹、
大俣の王に娶ひて、
また
アヤの王の妹の
オホマタの王と結婚して
生御子。 生みませる御子、 お生みになつた御子は、
智奴王。 智奴ちぬの王、 チヌの王、
次妹桑田王。 次に妹桑田の王 クハタの女王
〈二柱〉 二柱。 お二方です。
     
又娶
庶妹
玄王。
また庶妹
玄ゆみはりの王に
娶ひて、
また庶妹
ユミハリの王と
結婚して
生御子。 生みませる御子、 お生みになつた御子は
山代王。 山代やましろの王、 ヤマシロの王・
次笠縫王。 次に笠縫の王 カサヌヒの王
〈二柱〉 二柱。 のお二方です。
并七王。 并はせて七王ななはしら。 合わせて七王です。
     

陵(川内科長)

     
  (甲辰の年
四月六日崩りたまひき)
天皇は
甲辰きのえたつの年の
四月六日にお隱れになりました。
御陵在
川内
科長也。
御陵は
川内の
科長しながにあり。
御陵は
河内かわちの
科長しながにあります。

 
 

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下巻⑧~推古
(系譜のみ十帝)
7 敏達天皇
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