古事記 熊曾建と倭建:熊襲襲撃~原文対訳

野蛮×獰猛=倭建 古事記
中巻⑤
12代 景行天皇
ヤマトタケルの物語
③熊襲を襲撃
女装で武装
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)

熊曾建二人:熊ではない

     
於是天皇。  ここに天皇、  そこで天皇は、
惶其御子之。
建荒之情而。
その御子の
建く荒き情を惶かしこみて、
その御子の
亂暴な心を恐れて
詔之。 詔りたまひしく、 仰せられるには
西方有
熊曾建二人。
「西の方に
熊曾建くまそたける二人あり。
「西の方に
クマソタケル二人がある。
是不伏
无禮人等。
これ伏まつろはず、
禮旡ゐやなき人どもなり。
これが服從しない
無禮の人たちだ。
故取其人等。 かれその人どもを取れ」
とのりたまひて、
だからその人たちを殺せ」
と仰せられました。
而遣。 遣したまひき。  
     

倭比賣命之御衣御裳

     
當此之時。 この時に當りて、 この時に、
其御髮
結額也。
その御髮みかみを
額ぬかに結はせり。
その御髮を
額で結つておいでになりました。
爾小碓命。 ここに小碓をうすの命、 そこでヲウスの命は、
給其
姨倭比賣命之
御衣御裳。
その姨みをば
倭比賣やまとひめの命の
御衣みそ
御裳みもを給はり、
叔母樣の
ヤマト姫の命の
お衣裳をいただき、
以小劔
納于御懷而
幸行。
劒たちを
御懷ふところに納いれて
いでましき。
劒を
懷にいれて
おいでになりました。
     
故到于
熊曾建之家
見者。
かれ
熊曾建くまそたけるが
家に到りて
見たまへば、
そこで
クマソタケルの
家に行つて
御覽になりますと、
於其家邊。 その家の邊に、 その家のあたりに、
軍圍三重。 軍いくさ三重に圍み、 軍隊が三重に圍んで守り、
作室以居。 室を作りて居たり。 室むろを作つて居ました。
     
於是
言動爲
御室樂。
ここに
御室樂みむろうたげせむと
言ひ動とよみて、
そこで
新築の祝をしようと
言い騷いで、
設備食物。 食をし物を設まけ備へたり。 食物を準備しました。
故遊行
其傍。
かれその傍あたりを
遊行あるきて、
依つてその近所を
歩いて
待其樂日。 その樂うたげする日を
待ちたまひき。
宴會をする日を
待つておいでになりました。
野蛮×獰猛=倭建 古事記
中巻⑤
12代 景行天皇
ヤマトタケルの物語
③熊襲を襲撃
女装で武装