徒然草110段 双六の上手といひし人に:原文

高名の木登り 徒然草
第三部
110段
双六の上手
囲碁双六

 
 双六の上手といひし人に、そのてだてを問ひ侍りしかば、「勝たんとうつべからず。負けじとうつべきなり。いづれの手か疾く負けぬべきと案じて、その手をつかはずして、一めなりともおそく負くべき手につくべし」といふ。
道を知れる教へ、身を修め、国を保たむ道もまたしかなり。