紫式部集6 西の海を:原文対訳・逐語分析

5いづれぞと 紫式部集
第一部
若かりし頃

6西の海を
7西へ行く
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
筑紫へ行く人のむすめの、  筑紫へ行く人の娘が、 【筑紫へ行く人のむすめ】-筑前・筑後の両国。古くは九州全体をさして呼称した。肥前守橘為義の娘(岡一男『源氏物語の基礎的研究』)説と平維将の娘(角田文衛『紫式部とその時代』)説がある。
肥前へ下った地方官の妻が、紫式部の父為時の姉妹であることから、「むすめ」とは従姉妹の関係にある人となる。
     
西の海を 西の海を  
思ひやりつつ 思ひやりながら  
月見れば 月を見ていると  
ただに泣かるる ただ泣けてくる 【ただに泣かるる】-自発の助動詞「るる」連体形。
ころにもあるかな 今日このごろです