古事記 誓約③系譜~原文対訳

誓約② 古事記
上巻 第二部
アマテラスの受難
誓約③系譜
クソまき
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)
於是
天照大御神。
 ここに
天照らす大御神、
ここに
天照らす大神は

速須佐之男命。
速須佐はやすさの男の命に
告のりたまはく、
スサノヲの命に
仰せになつて、
是後所生
五柱男子者。
「この後に生あれませる
五柱の男子ひこみこは、
「この後あとから生まれた
五人の男神は
物實。
因我物所成。
物實ものざね
我が物に因りて成りませり。
わたしの身につけた珠によつて
あらわれた神ですから
故自吾子也。 かれおのづから吾が子なり。 自然わたしの子です。
先所生之
三柱女子者。
先に生れませる
三柱の女子ひめみこは、
先に生まれた
三人の姫御子ひめみこは
物實
因汝物所成。
物實
汝いましの物に因りて成りませり。
あなたの身につけたものによつて
あらわれたのですから、
故乃汝子也。 かれすなはち汝の子なり」と、 やはりあなたの子です」
如此詔別也。 かく詔のり別けたまひき。 と仰せられました。
     
故其先所生之神。  かれその先に生れませる神、 その先にお生まれになつた神のうち
多紀理毘賣命者。 多紀理毘賣
たきりびめの命は、
タギリヒメの命は、
坐胸形之
奧津宮。
胸形むなかたの
奧津おきつ宮にます。
九州の胸形むなかたの
沖つ宮においでになります。

市寸嶋比賣命者。
次に
市寸島比賣
いちきしまひめの命は
次に
イチキシマヒメの命は
坐胸形之
中津宮。
胸形の
中津なかつ宮にます。
胸形の
中つ宮においでになります。
次田寸津比賣命者。 次に
田寸津比賣
たぎつひめの命は、
次に
タギツヒメの命は
坐胸形之
邊津宮。
胸形の
邊津へつ宮にます。
胸形の
邊へつ宮においでになります。
此三柱神者
胸形君等之
以伊都久
三前大神者也。
この三柱の神は、
胸形の君等が
もち齋いつく
三前みまへの大神なり。
この三人の神は、
胸形の君たちが
大切にお祭りする
神樣であります。
     
故此後所生
五柱子之中。
 かれこの後に生あれませる
五柱の子の中に、
そこでこの後でお生まれになつた
五人の子の中に、
天菩比命之子
建比良鳥命。
天の菩比ほひの命の子
建比良鳥
たけひらとりの命、
アメノホヒの命の子の
タケヒラドリの命、
〈此出雲國造。 こは出雲の國の造みやつこ、 これは
出雲の國の造みやつこ・
无邪志國造。 无耶志むざしの國の造、 ムザシの國の造・
上菟上國造。 上かみつ菟上うなかみの國の造、 カミツウナカミの國の造・
下菟上國造。 下しもつ菟上うなかみの國の造、 シモツウナカミの國の造・
伊自牟國造。 伊自牟いじむの國の造、 イジムの國の造・
津嶋縣直。 津島つしまの
縣あがたの直あたへ、
津島の
縣あがたの直あたえ・
遠江國造
等之祖也〉
遠江とほつあふみの國の造
等が祖おやなり。
遠江とおとおみの國の造
たちの祖先です。
     
次天津日子根命者。 次に天津日子根あまつひこねの命は、 次にアマツヒコネの命は、
〈凡川内國造。 凡川内おふしかふちの國の造、 凡川内おおしこうちの國の造・
額田部湯坐連。 額田部ぬかたべの湯坐ゆゑの連むらじ、 額田ぬかた部の湯坐ゆえの連・
茨木國造。 木きの國の造、 木の國の造・
倭田中直。 倭やまとの田中の直あたへ、 倭やまとの田中の直あたえ・
山代國造。 山代やましろの國の造、 山代やましろの國の造・
馬來田國造。 馬來田うまくたの國の造、 ウマクタの國の造・
道尻岐閇國造。 道みちの尻岐閇しりきべの國の造、 道ノシリキベの國の造・
周芳國造。 周芳すはの國の造、 スハの國の造・
倭淹知造。 倭やまとの淹知あむちの造みやつこ、 倭のアムチの造・
高市縣主。 高市たけちの縣主あがたぬし、 高市たけちの縣主・
蒲生稻寸。 蒲生かまふの稻寸いなぎ、 蒲生かもうの稻寸いなき・
三枝部造
等之祖也〉
三枝部さきくさべの造
等が祖なり。
三枝部さきくさべの造
たちの祖先です。
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