枕草子227段 八月つごもり

賀茂へ 枕草子
中巻下
227段
八月つごもり
九月二十日

(旧)大系:227段
新大系:210段、新編全集:211段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず混乱を招くので、以後最も索引性に優れる三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:249段
 


 
 八月つごもり、太秦に詣づとて見れば、穂にいでたる田を人いと多く見さわぐは、稲刈るなりけり。早苗取りしかいつのまに、まことにさいつころ賀茂へ詣づとて見しが、あはれにもなりにけるかな。これは男どもの、いと赤き稲の本ぞ青きを持たりて刈る。何にかあらむして本を切るさまぞ、やすげに、せまほしげに見ゆるや。
 

 いかでさすらむ、穂をうち敷きて並みをるも、をかし。庵のさまなど。
 
 

賀茂へ 枕草子
中巻下
227段
八月つごもり
九月二十日