紫式部集27 ふるさとに:原文対訳・逐語分析

26小塩山 紫式部集
第二部
近江・越前

27ふるさとに
28春なれど
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
降り積みて、  雪が降り積もって、  
いとむつかしき雪をかき捨てて、 たいそうやっかいな雪をかき捨てて、  
山のやうにしなしたるに、 山のようにした所に、  
人びと登りて、 人びとが登って、  
「なほ、 「雪は嫌だと言っても、やはり、 【なほ】-実践本「なを」は平安の仮名遣い。
これ出でて見たまへ」と言へば、 ここへ出て来て御覧なさい」と言うので、  
     
ふるさとに 故郷に  
帰る山路の 帰るという鹿蒜山の 【帰る山路】-「帰る」と「鹿蒜山」との掛詞。
それならば 雪ならば  
心やゆくと 気も晴れるかと 【心やゆくと】-係助詞「や」疑問。
雪も見てまし 出て見ましょうが 【雪】-「雪」と「行き」との掛詞。
【見てまし】-仮想の助動詞「まし」終止形。