徒然草133段 夜の御殿:原文

鳥羽の作道 徒然草
第四部
133段
夜の御殿
高倉院

 
 夜の御殿は、東御枕なり。
大方、東を枕として陽気を受くべき故に、孔子も東首し給へり。
寝殿のしつらひ、あるは南枕、常の事なり。
白河院は、北首に御寝なりけり。
「北は忌む事なり。また、伊勢は南なり。太神宮の御方を御跡にせさせ給ふこといかが」と、人申しけり。
ただし、太神宮の遥拝は、巽に向かはせ給ふ。
南にはあらず。