紫式部集63 忍びつる:原文対訳・逐語分析

62わりなしや 紫式部集
第六部
初々し出仕

63忍びつる
異本58
64今日はかく
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
薬玉おこすとて、  薬玉を贈りますといって、 【薬玉おこすとて】-誰か未詳。実践本「をこす」は定家の仮名遣い。
    【忍びつる根】-「根」と「音」の掛詞。隠れていた菖蒲の根と言わないでいた声。
忍びつる 隠れていた  
根ぞ現はるる 根が引かれて現れ出たように  
菖蒲草 今日は菖蒲の節供にちなんでわたしの心根を表します  
言はぬに朽ちて 何も言わないうちに朽ちて 【言はぬに】-「ぬ」に「沼」を響かす。「根」「沼」は「菖蒲草」の縁語。
やみぬべければ 終わってしまいそうなので