古事記 欽明天皇~原文対訳

5 宣化天皇 古事記
下巻⑧~推古
(系譜のみ十帝)
6 欽明天皇
(きんめい)
7 敏達天皇
目次
(師木嶋大宮)
后妃・皇子女

 

欽明天皇

原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)

宮(師木嶋大宮)

     
天國
押波流岐
廣庭天皇。

天國押波流岐廣庭
あめくに
おしはるき
ひろにはの天皇、
 弟の
アメクニ
オシハルキ
ヒロニハの天皇
(欽明天皇)、
坐師木嶋
大宮。
師木島しきしまの
大宮にましまして、
大和の師木島しきしまの
大宮においでになつて、
治天下也。 天の下治らしめしき。 天下をお治めなさいました。
     

后妃・皇子女

     
天皇。 この天皇、 この天皇、

檜脾天皇之御子。
石比賣命。
檜ひのくまの天皇の御子、
石比賣の命に
娶ひて、
ヒノクマの天皇の御子、
石姫いしひめの命と
結婚して
生御子。 生みませる御子、 お生みになつた御子は、
八田王。 八田やたの王、 ヤタの王・
次沼名倉
太玉敷命。
次に沼名倉太玉敷
ぬなくらふとたましきの命、
ヌナクラ
フトタマシキの命・
次笠縫王。 次に笠縫かさぬひの王 カサヌヒの王
〈三柱〉 三柱。 のお三方です。
     
又娶
其弟
小石比賣命。
またその弟
小石比賣の命に
娶ひて、
またその妹の
小石こいし姫の命と
結婚して
生御子。 生みませる御子、 お生みになつた御子は、
上王。
〈一柱〉
上かみの王
一柱。
カミの王
お一方、
     
又娶
春日之
日爪臣之女。
糠子郎女。
また春日の
日爪ひつまの臣が女、
糠子ぬかこの郎女に
娶ひて、
また春日の
ヒノツマの女の
ヌカコの郎女と
結婚して
生御子。 生みませる御子、 お生みになつた御子は、
春日山田郎女。 春日の山田の郎女、 春日の山田の郎女・
次麻呂古王。 次に麻呂古まろこの王、 マロコの王・
次宗賀之倉王。 次に宗賀そがの倉の王 ソガノクラの王
〈三柱〉 三柱。 のお三方です。
     
又娶
宗賀之稻目
宿禰大臣之女。
岐多斯比賣。
また
宗賀の稻目いなめの
宿禰の大臣が女、
岐多斯きたし比賣に娶ひて、
またソガのイナメの
宿禰の大臣の女の
キタシ姫と
結婚して
生御子。 生みませる御子、 お生みになつた御子は
橘之豐日命。 橘の豐日の命、 タチバナノトヨヒの命・
次妹石埛王。 次に妹石埛いはくまの王、 イハクマの王・
次足取王。 次に足取あとりの王、 アトリの王・
次豐御氣
炊屋比賣命。
次に豐御氣炊屋
とよみけかしぎや比賣の命、
トヨミケ
カシギヤ姫の命・
次亦麻呂古王。 次にまた麻呂古の王、 またマロコの王・
次大宅王。 次に大宅おほやけの王、 オホヤケの王・
次伊美賀古王。 次に伊美賀古いみがこの王、 イミガコの王・
次山代王。 次に山代の王、 ヤマシロの王・
次妹大伴王。 次に妹大伴おほともの王、 オホトモの王・
次櫻井之玄王。 次に櫻井の
玄ゆみはりの王、
サクラヰノ
ユミハリの王・
次麻奴王。 次に麻怒まのの王、 マノの王・
次橘
本之若子王。
次に橘の
本の若子わくごの王、
タチバナノ
モトノワクゴの王・
次泥杼王。 次に泥杼ねどの王 ネドの王
〈十三柱〉 (十三柱) の十三方でした。
     
又娶
岐多志比賣命之姨。
小兄比賣。
また
岐多志比賣の命が姨をば、
小兄をえ比賣に娶ひて、
また
キタシ姫の命の叔母の
ヲエ姫と結婚して
生御子。 生みませる御子、 お生みになつた御子は、
馬木王。 馬木うまきの王、 ウマキの王・
次葛城王。 次に葛城の王、 カヅラキの王・
次間人
穴太部王。
次に間人はしひとの
穴太部あなほべの王、
ハシヒトノ
アナホベの王・
次三枝部
穴太部王。
亦名
須賣伊呂杼。
次に三枝部さきくさべの
穴太部の王、
またの名は
須賣伊呂杼すめいろど、
サキクサベノ
アナホベの王、
またの名は
スメイロト・
次長谷部若雀命。 次に長谷部はつせべの
若雀わかさざきの命
ハツセベノ
ワカサザキの命
〈五柱〉 五柱。 のお五方です。
     
凡此天皇之御子等。
并廿五王。
およそこの天皇の御子たち
并はせて
二十五王はたちまりいつはしら、
すべてこの天皇の御子たち
合わせて
二十五王おいでになりました。
     
此之中。 この中、 この中で
沼名倉
太玉敷命者。
治天下。
沼名倉
太玉敷の命は、
天の下治らしめしき。
ヌナクラ
フトタマシキの命は
天下をお治めなさいました。
次橘之豐日命。
治天下。
次に橘の
豐日の命も、
天の下治らしめしき。
次にタチバナノ
トヨヒの命・
次豐御氣
炊屋比賣命。
治天下。
次に豐御氣
炊屋比賣の命も、
天の下治らしめしき。
トヨミケ
カシギヤ姫の命・
次長谷部之
若雀命。
治天下也。
次に長谷部の
若雀の命も、
天の下治らしめしき。
ハツセベノ
ワカサザキの命も、
みな天下をお治めなさいました。
并四王
治天下也。
并せて四王よはしら
天の下治らしめしき。
すべて四王、
天下をお治めなさいました。

 

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下巻⑧~推古
(系譜のみ十帝)
6 欽明天皇
(きんめい)
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