徒然草24段 斎宮の野宮に:原文

おとろへたる 徒然草
第一部
24段
斎宮の野宮
飛鳥川

 
 斎宮の野宮におはします有様こそ、やさしくおもしろき事のかぎりとはおぼえしか。
「経」「仏」など忌みて、「なかご」「染紙」などいふなるもをかし。
 

 すべて神の社こそ、捨てがたく、なまめかしきものなれや。
ものふりたる森の気色もただんまらぬに、玉垣しわたして、榊にゆふりかけたるなど、いみじからぬかは。
ことにをかしきは、伊勢、加茂、春日、平野、住吉、三輪、貴布禰、吉田、大原野、松尾、梅宮。