枕草子127段 はしたなきもの

修法は 枕草子
上巻下
127段
はしたなき
八幡の行幸

(旧)大系:127段
新大系:122段、新編全集:123段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず、混乱を招くので、三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:131段
 


 
 はしたなきもの、こと人を呼ぶに、我ぞとてさしいでたる。ものなど取らするをりは、いとど。
 

 おのづから人の上などうち言ひそしりたるに、幼き子どもの聞き取りて、その人のあるに言ひいでたる。あはれなることなど、人の言ひいで、うち泣きなどするに、げにいとあはれなりなど聞きながら、涙のつといで来ぬ、いとはしたなし。泣き顔つくり、けしき異になせど、いとかひなし。めでたきことを見聞くには、まづただいで来にぞいで来る。