伊勢物語 2段:西の京 あらすじ・原文・現代語訳

第1段
初冠
伊勢物語
第一部
第2段
西の京
第3段
ひじき藻

 
 目次
 

 ・あらすじ(大意)
 

 ・原文対照 
 

 ・現代語訳(逐語解説)
 
 

あらすじ

 
 
 昔男がいた。奈良から遷都し、この京に人家がまだまばらな頃、西の京に、世人の姿形より心が勝る女がいた。
 この人(一人)しかいないのでは、と思えるほどに。
 

 それでかの豆男(? ○平→×)がいいよったが、マジにナニもせんと帰って来た。
 その心は。
 

 何もせん せんと思うも、やはりせじ(世辞)
(形も大事と いわせんといて 友○心の俳句)
 
 西の京とは ならか長岡
(西の京=奈良と長岡双方にある。どっちなの!? 「起きもせず寝もせで夜を明かしては」、はっきりしないなもう)
 

 真面目とマメとかけ、マジで面目ないととく。
 その心は「やはり住まん(本当ごめんね)」
 …なんて言えないよ~(好きだなんて→× 業ひろ○×)。
 

 だから、この歌を古今集で業平という認定は誤り(恋三616)。根拠がその認定以外にない。加えて文面にも業平とする根拠が全くない。
 そして、古今集の業平と認定された作品は全て伊勢にしかない。だから業平から伊勢をとれば何一つ残らない。その程度の者がなぜ主人公たりうるのか。
 だから論理が逆。業平が先ではなく後から付け足されただけ。理由があるはずと転換する発想自体おかしい。節操ない男=業平と決めつけただけのこと。
 そして節操ない男と見た時点でこの物語を全く見誤っている。初段の解釈がそう。ただし、業平自体は節操が全くないと65段でも確実に説明されている。
 
 

原文対照

男女
及び
和歌
定家本 武田本
(定家系)
朱雀院塗籠本
(群書類従本)
  第2段 西の京(の女) 眺め暮しつ
   
 むかし、男ありけり。  むかし、おとこありけり。  昔男ありけり。
      みやこのはじまりける時。
  奈良の京は離れ、 ならの京はゝなれ、 ならの京ははなれ。
  この京は この京は 此京は
  人の家まだ定まらざりける時に、 人のいゑまださだまらざりける時に、 人の家 いまださだまらざりける時。
  西の京に女ありけり。 ゝしの京に女ありけり。 西京に女有けり。
 
  その女、世人にはまされりけり。 その女世人にはまされりけり。 其女世の人にはまさりたりけり。
  その人、 その人、  
  かたちよりは心なむまさりたりける。 かたちよりはこゝろなむまさりたりける。 かたちよりは心なんまされりける。
  ひとりのみもあらざりけらし。 ひとりのみもあらざりけらし、 人そのみも
[ひとりのみにもイ]あらざりけらし。
 
  それをかのまめ男、 それをかのまめおとこ、 それをかのまめ男
  うち物語らひて、 うちものがたらひて、 うち物かたらひて。
  帰り来て、いかゞ思ひけむ、 かへりきていかゞおもひけむ、 かへりきていかが思ひけん。
  時はやよひのついたち、 時はやよひのついたち、 時は彌生の朔日。
  雨そほふるにやりける。 あめそをふるにやりける。 雨うちそぼふりけるにやりける。
 
♪3  起きもせず
 寝もせで夜を明かしては
 おきもせず
 ねもせでよるをあかしては
 おきもせす
 ねもせてよるを明しては
  春のものとて
  眺め暮しつ
  はるのものとて
  ながめくらしつ
  春の物とて
  詠め暮しつ
   

現代語訳

 
 

むかし、男ありけり。
奈良の京は離れ、この京は人の家まだ定まらざりける時に、西の京に女ありけり。

 
 昔、男がいた。奈良の京は離れ(遷都し)、この京は、人家もまだ定まらず(まばらであった)時に、西の京に女がいた。
 

その女、世人にはまされりけり。
その人、かたちよりは心なむまさりたりける。
ひとりのみもあらざりけらし。

 
 その女、世人に優り、つまり、その人の姿形より、心が何より優れているようだった。
 ひとりのみもあらざりけらし(?)。その難しい心は、この世に一人だけだろうかと思えるほどの(男の世人に優る世辞であった)。
 

それをかのまめ男、うち物語らひて、帰り来て、いかゞ思ひけむ、
時はやよひのついたち、雨そほふるにやりける。
 
 起きもせず
 寝もせで夜を 明かしては
 春のものとて  眺め暮しつ

 

 それをかの豆男、自分の世辞にのっかり、ことをせじ(しよう)と思い、物語などうち語らいして、帰って来て(?)、ナニを思ったか(その心は)。
 時は、弥生の一日(朔)。雨そほふるにやりける(?)。 雨そふる(なぞらえる)とかけ、そっと振りました。
 

 起きもせず、寝もせで夜に、(ナニしたの)
 ねもせでよるを、あかしては、(なにもせんと)
 春のものとて、長め暗しつ。
 
 その心は、ああ穀雨(虚空・無常)? 心栄えは見栄えありきかなと。これは多分そういう歌だね(うたたね)。寝たら一緒に寝たことになるから寝ない。