紫式部集12 行かずとも:原文対訳・逐語分析

11霜氷り 紫式部集
第一部
若かりし頃

12行かずとも
13ほととぎす
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
返し、  返歌、 【返し】-第十一段に「もの思ひわづらふ人」とあった人。
     
行かずとも たとい筆が進まなくても 【行かずとも】-筆が進まなくても。
なほ
書きつめよ
今まで同様に
便りを書き集めて送ってくださいね、
【なほ】-実践本「なを」は平安の仮名遣い。
【書きつめよ】-書き集めよ、の意。
霜氷り 霜や氷に閉ざされたわたしの心も  
水の上にて あなたの便りによって 【水の上にて】-水の上で、霜や氷を融かして。
「水の上」は作者からの手紙を喩える。
思ひ流さむ もの思いを流せましょうから