徒然草203段 勅勘の所に靫懸くる作法:原文

十月 徒然草
第六部
203段
勅勘の所に
犯人

 
 勅勘の所に靫(ゆぎ)懸くる作法、今は絶えて、知れる人なし。
主上の御悩、大方、世の中の騒がしき時は、五条の天神に靫を懸けらる。
鞍馬に靫の明神といふも、靫懸けられたりける神なり。
看督長の負ひたる靫をその家に懸けられぬれば、人出で入らず。
この事絶えて後、今の世には、封を著くることになりにけり。