古事記 酒楽の歌(酒蔵×神楽)~原文対訳

気比大神 古事記
中巻⑦
14代 仲哀天皇
神功皇后の後日談
7 酒楽の歌
仲哀天皇陵
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)
於是還上坐時。  ここに還り上ります時に、  其處から還つてお上りになる時に、
其御祖。 その御祖みおや 母君の
息長帶日賣命。 息長帶日賣の命、 オキナガタラシ姫の命が
釀待酒以獻。 待酒を釀みて獻りき。 お待ち申し上げて
酒を造つて獻上しました。
爾其御祖御歌曰。 ここにその御祖、
御歌よみしたまひしく、
その時にその母君の
お詠み遊ばされた歌は、
     

1スクナ御神の酒歌~ 御神酒 おみき が少ない

     
許能美岐波 この御酒みきは このお酒は
和賀美岐那良受 わが御酒ならず。 わたくしのお酒ではございません。
久志能加美 酒くしの長かみ  お神酒みきの長官、
登許余邇伊麻須 常世とこよにいます 常世とこよの國においでになる
伊波多多須 石いは立たたす 岩になつて立つていらつしやる
須久那美迦微能 少名すくな御神の、 スクナビコナ樣が
加牟菩岐 神壽かむほき  祝つて祝つて
本岐玖琉本斯 壽き狂くるほし 祝い狂くるわせ
登余本岐 豐壽とよほき 祝つて祝つて
本岐母登本斯 壽きもとほし 祝い廻まわつて
麻都理許斯美岐敍 獻まつり來こし御酒みきぞ 獻上して來たお酒なのですよ。
阿佐受袁勢 乾あさずをせ。 盃をかわかさずに召しあがれ。
佐佐 ささ。  
     
如此歌而。  かく歌ひたまひて、  かようにお歌いになつて
獻大御酒。 大御酒獻りき。 お酒を獻りました。
     

2御酒に舌鼓した歌

     
爾建内宿禰命。 ここに建内の宿禰の命、 その時にタケシウチの宿禰が
爲御子答
歌曰。
御子のために答へて
歌ひして曰ひしく、
御子のためにお答え申し上げた
歌は、
     
許能美岐袁 この御酒を このお酒を
迦美祁牟比登波 釀かみけむ人は、 釀造した人は、
曾能都豆美 その鼓つづみ その太鼓を
宇須邇多弖弖 臼に立てて 臼うすに使つて、
宇多比都都 迦美祁禮迦母 歌ひつつ釀かみけれかも、 歌いながら作つた故か、
麻比都都 迦美祁禮加母 舞ひつつ釀かみけれかも、 舞いながら作つた故か、
許能美岐能 美岐能 この御酒の 御酒の このお酒の
阿夜邇 宇多陀怒斯 あやに うた樂だのし。 不思議に樂しいことでございます。
佐佐 ささ。  
     
此者。
酒樂之歌也。
 こは
酒樂さかくらの歌なり。
 これは
酒樂さかくらの歌でございます。
気比大神 古事記
中巻⑦
14代 仲哀天皇
神功皇后の後日談
7 酒楽の歌
仲哀天皇陵