原文 |
書き下し (武田祐吉) |
現代語訳 (武田祐吉) |
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於是還上坐時。 | ここに還り上ります時に、 | 其處から還つてお上りになる時に、 |
其御祖。 | その御祖みおや | 母君の |
息長帶日賣命。 | 息長帶日賣の命、 | オキナガタラシ姫の命が |
釀待酒以獻。 | 待酒を釀みて獻りき。 |
お待ち申し上げて 酒を造つて獻上しました。 |
爾其御祖御歌曰。 |
ここにその御祖、 御歌よみしたまひしく、 |
その時にその母君の お詠み遊ばされた歌は、 |
1スクナ御神の酒歌~ 御神酒 が少ない |
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許能美岐波 | この御酒みきは | このお酒は |
和賀美岐那良受 | わが御酒ならず。 | わたくしのお酒ではございません。 |
久志能加美 | 酒くしの長かみ | お神酒みきの長官、 |
登許余邇伊麻須 | 常世とこよにいます | 常世とこよの國においでになる |
伊波多多須 | 石いは立たたす | 岩になつて立つていらつしやる |
須久那美迦微能 | 少名すくな御神の、 | スクナビコナ樣が |
加牟菩岐 | 神壽かむほき | 祝つて祝つて |
本岐玖琉本斯 | 壽き狂くるほし | 祝い狂くるわせ |
登余本岐 | 豐壽とよほき | 祝つて祝つて |
本岐母登本斯 | 壽きもとほし | 祝い廻まわつて |
麻都理許斯美岐敍 | 獻まつり來こし御酒みきぞ | 獻上して來たお酒なのですよ。 |
阿佐受袁勢 | 乾あさずをせ。 | 盃をかわかさずに召しあがれ。 |
佐佐 | ささ。 | |
如此歌而。 | かく歌ひたまひて、 | かようにお歌いになつて |
獻大御酒。 | 大御酒獻りき。 | お酒を獻りました。 |
2御酒に舌鼓した歌 |
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爾建内宿禰命。 | ここに建内の宿禰の命、 | その時にタケシウチの宿禰が |
爲御子答 歌曰。 |
御子のために答へて 歌ひして曰ひしく、 |
御子のためにお答え申し上げた 歌は、 |
許能美岐袁 | この御酒を | このお酒を |
迦美祁牟比登波 | 釀かみけむ人は、 | 釀造した人は、 |
曾能都豆美 | その鼓つづみ | その太鼓を |
宇須邇多弖弖 | 臼に立てて | 臼うすに使つて、 |
宇多比都都 迦美祁禮迦母 | 歌ひつつ釀かみけれかも、 | 歌いながら作つた故か、 |
麻比都都 迦美祁禮加母 | 舞ひつつ釀かみけれかも、 | 舞いながら作つた故か、 |
許能美岐能 美岐能 | この御酒の 御酒の | このお酒の |
阿夜邇 宇多陀怒斯 | あやに うた樂だのし。 | 不思議に樂しいことでございます。 |
佐佐 | ささ。 | |
此者。 酒樂之歌也。 |
こは 酒樂さかくらの歌なり。 |
これは 酒樂さかくらの歌でございます。 |