古事記 忍熊王の歌~原文対訳

建振熊 古事記
中巻⑦
14代 仲哀天皇
神功皇后の後日談
4 忍熊王の歌
伊奢沙和気大神
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)
於是其忍熊王 ここにその忍熊の王、 そこでそのオシクマの王が
與伊佐比宿禰。 伊佐比いさひの宿禰と イサヒの宿禰と
共被追迫。 共に追ひ迫めらえて、 共に追い迫せめられて、
乘船浮海
歌曰。
船に乘り、海に浮きて、
歌よみして曰ひしく、
湖上に浮んで
歌いました歌、
     
伊奢阿藝 いざ吾君あぎ、 さあ君きみよ、
布流玖麻賀 振熊ふるくまが フルクマのために
伊多弖淤波受波 痛手負はずは 負傷ふしようするよりは、
邇本杼理能 鳰鳥にほどりの  カイツブリのいる
阿布美能宇美邇 淡海の海に 琵琶の湖水に
迦豆岐勢那和 潛かづきせなわ。 潛り入ろうものを。
     
即入海
共死也。
と歌ひて、
すなはち海に入りて共に死しにき。
と歌つて
海にはいつて死にました。
建振熊 古事記
中巻⑦
14代 仲哀天皇
神功皇后の後日談
4 忍熊王の歌
伊奢沙和気大神