紫式部集71 何ごとと:原文対訳・逐語分析

70なべて世の 紫式部集
第七部
栄花と追憶

71何ごとと
異本119:日記歌5
(しかし日記にはない)
72天の戸の
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
返し、  返歌、  
     
何ごとと どのようなことと、  
菖蒲は分かで 菖蒲ではないが、ものの条理は分かりませんで、 【菖蒲】-「菖蒲」と「文目」を掛ける。
今日もなほ 今日もやはり 【なほ】-「なを」は定家の仮名遣い。
袂にあまる 袂にあまる  
根こそ絶えせね 長い根の泣く音が絶えません 【根】-「根」と「音」を掛ける。
【絶えせね】-サ変「絶えせ」+打消の助動詞「ね」已然形、「こそ」の係結び。
     

参考異本=後世の二次資料

 「返し  紫式部
なにごととあやめはわかでけふもなほたもとにあまるねこそたえせね」(寿本「新古今集」夏 二二四)