紫式部集44 亡き人に:原文対訳・逐語分析

43散る花を 紫式部集
第四部
夫の死

44亡き人に
45ことわりや
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
絵に、  絵に、  
もののけ憑きたる女の もののけの憑いた女の 【もののけ憑きたる女】-男の今の妻。
醜きかた描きたる後ろに、 醜い姿を描いた背景に、  
鬼になりたる元の妻を、 死んで鬼になった先妻を、 【鬼になりたる元の妻】-もののけを移した憑坐(よりまし)。
小法師の縛りたるかた描きて、 小法師が縛った姿を描いて、  
男は経読みて、 夫は経を読んで、 【男】-実践本「おとこ」は定家の仮名遣い。
もののけ責めたる もののけを退散させようとしている  
ところを見て、 ところを見て、  
     
亡き人に もののけ〈亡き人〉に  
かごとはかけて かこつけて  
わづらふも 手こずっているというが〈苦しんでも〉  
おのが心の 実は自分の心の 【おのが】-「をのか」は定家の仮名遣い。
鬼にやはあらぬ 鬼に責められているのではないでしょうか