徒然草158段 盃の底を捨つる事:原文

筆を取れば 徒然草
第四部
158段
盃の底
みなむすび

 
 「盃の底を捨つる事は、いかが心得たる」と、ある人の尋ねさせ給ひしに、「凝当と申し侍るは、底に凝りたるを捨つるにや候ふやらん」と申し侍りしかば、「さにはあらず。魚道なり。流れを残して、口の付きたる所をすすぐなり」と仰せられし。