枕草子315段 男は、女親亡くなりて

僧都の御乳母 枕草子
下巻下
315段
男は
ある女房の

(旧)大系:315段
新大系:295段、新編全集:295段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず混乱を招くので、以後は最も索引性に優れ三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:294段
 


 
 男は、女親亡くなりて、男親の一人ある、いみじう思へど、心わづらはしき北の方出で来て後は、内にも入れ立てず、装束などは、乳母、また故上の御人どもなどしてせさせす。
 

 西東の対のほどに、まらうど居などをかし。屏風、障子の絵も見所ありて住まひたり。殿上のまじらひのほど、くちをしからず人々も思ひ、上も御けしきよくて、常に召して、御遊びなどのかたきにおぼしめしたるに、なほつねにものなげかしく、世の中心にあはぬ心地して、すきずきしき心ぞ、かたはなるまであべき。上達部、またなきさまにてもかしづかれたる妹一人あるばかりにぞ、思ふことうち語らひ、なぐさめ所なりける。
 
 

僧都の御乳母 枕草子
下巻下
315段
男は
ある女房の