古事記 肥長比賣(ヒナガ姫)~原文対訳

葦原色許男大神 古事記
中巻④
11代 垂仁天皇
ホムチワケの物語
⑦肥長比賣
菟上王
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)

蛇と一宿(ヘビというても人やど!)

     
爾其御子。  ここにその御子、  そこでその御子が
一宿婚
肥長比賣。
肥長ひなが比賣に
一宿ひとよ婚ひたまひき。
一夜ヒナガ姫と
結婚なさいました。
     
故竊伺
其美人者。
蛇也。
かれその美人をとめを
竊伺かきまみたまへば、
蛇をろちなり。
その時に孃子を
伺のぞいて御覽になると
大蛇でした。
     
即見畏遁逃。 すなはち見畏みて
遁げたまひき。
そこで見て畏れて
遁げました。
     
爾其肥長比賣
患光海原。
自船追來。
ここにその肥長ひなが比賣
患うれへて、
海原を光てらして
船より追ひ來く。
ここにそのヒナガ姫は
心憂く思つて、
海上を光らして
船に乘つて追つて來るので
     
故益。
見畏以。
かれ、ますます見畏みて いよいよ畏れられて、
自山多和。
〈此二字以音〉
山のたわより 山の峠とうげから
引越御船。 御船を引き越して、 御船を引き越させて
逃上行也。 逃げ上りいでましつ。 逃げて上つておいでになりました。
葦原色許男大神 古事記
中巻④
11代 垂仁天皇
ホムチワケの物語
⑦肥長比賣
菟上王

美人者蛇の心=くだを巻いて絡んでくる

 
 
 ここで姫が物理的に蛇になっていたのではなく、古事記でその類は謎掛け。序の記述からしても、そこまで幼い読者レベルを想定してない。 

 蛇を八俣大蛇と掛かるホムチ両親の「八鹽折之紐小刀」と掛け、くだを巻くと解く、その心は泥酔して絡んでくる女。だから一宿で終わった。美人なのに?
 
 

肥長姫=樽

 
 
 八鹽折(やしおり=バッカス)は、八俣大蛇すら泥酔させた大容量の樽のことである。樽は人(女性)の形容にも用いられる。それで「肥長比賣」。
 つまりリトルなぽちゃ(ムチムチ)ではなく曙みたいな美人だった。ホムチは設定上、痴呆から覚醒したばかりで当然女には無知である。
 

 なおグラマーな(出るとこ出てる)体は、わがままボディというらしい。それを解くと、わが意のままにしたい体。その心はそそるものだから。
 素敵でわがままに感じるというのはおかしくないか。その緩い感じから、生活習慣がわがまま(明らかに食べ過ぎ)っぽそうとかならわからなくもない。