紫式部集111 天の川:原文対訳・逐語分析

110おほかたに 紫式部集
第十部
天の川の人

111天の川
異本106
112なほざりの
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
〈適宜当サイトで改め〉
注釈
【渋谷栄一】
〈適宜当サイトで補注〉
返し、  返歌、

【返し】-作者の一一〇番歌に対する夫宣孝の返歌。

〈この点、式部の歌か夫の歌かで説が分かれる(110参照)が、夫の歌とするのは具体的根拠がない感覚的みなし認定で誤り。

この歌は夫の死後、紫式部が深い仲になった人とのものと見る。人妻・空蝉の恋愛から物語を始め、夜に戸を叩かれるような式部に夫以外の恋愛を断固認めないことは極めて不自然で、夫でなくても創作と言う説も同じ動機で無理〉

     
天の川 天の川の  
逢ふ瀬は 逢う瀬は  
よその雲井にて 他人の雲井のことです  
絶えぬ契りし 絶えないあなたとの夫婦の仲は

〈この歌を夫とする認定は33番「絶えば絶えなむ」と相容れない〉

世々にあせずは 世々に〈来世でも〉褪せな〈いものよ〉ければ永遠です