紫式部集53 若竹の:原文対訳・逐語分析

52消えぬ間の 紫式部集
第五部
転機

53若竹の
異本54
54数ならぬ
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
世を常なしなど思ふ人の、  世の中を無常だなどと思う人が、 【世を常なしなど思ふ人】-作者。第三者的に表現している。
幼き人の悩みけるに、 幼い子が病気になったので、 【幼き人】-作者の娘賢子。実践本「おさなし」は定家の仮名遣い。
唐竹といふもの、 唐竹というものを、  
瓶に挿したる 花瓶に挿した  
女ばらの祈りけるを見て、 女房が祈ったのを見て、  
     
若竹の 若竹が 【若竹】-幼子を譬喩する。
生ひゆく末を 成長してゆく先を 【生ひゆく】-底本「おいゆく」の「い」は「ひ」の誤りとみて、訂正する。
祈るかな 祈っていることよ  
この世を憂しと わたしはこの世を  
厭ふものから 厭わしく思っているのに