紫式部集124 暮れぬ間の:原文対訳・逐語分析

123経ればかく 紫式部集
第十一部
終の予感

124暮れぬ間の
異本64
125誰れか世に
原文
実践女子大本
(定家本系筆頭)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
小少将の君の  小少将の君が 【小少将の君】-源扶義の女、道長の北の方倫子の姪。
書きたまへりしうちとけ文の、 生前にお書きになった心を許した手紙が、  
物の中なるを見つけて、 何かの中にあったのを見つけて、  
加賀少納言のもとに、 加賀の少納言のもとに、 【加賀少納言】-素性不明の女房。
     
暮れぬ間の 日が暮れない間の 【暮れぬ間の身】-一日の間。はかない寿命をいう。
身をば思はで はかない身であることを考えないで、  
人の世の 人の寿命の  
哀れを知るぞ 悲哀を知るとは  
かつは悲しき 一方では悲しいことです  
     

参考異本=後世の二次資料

 「うせにける人のふみの、ものの中なるをみいでて、そのゆかりなる人のもとにつかはしける  紫式部
くれぬまの身をば思はで人のよのあはれをしるぞかつははかなき」(寿本「新古今集」哀傷 八五六)