古事記 小碓命=野蛮×獰猛=倭建~原文対訳

兄姫弟姫と大碓小碓 古事記
中巻⑤
12代 景行天皇
ヤマトタケルの物語
②野蛮×獰猛=倭建
熊襲を襲撃
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)
天皇詔
小碓命。
 天皇、
小碓をうすの命に詔りたまはく、
 天皇が
ヲウスの命に仰せられるには
何汝兄。 「何とかも汝みましの兄いろせ、 「お前の兄はどうして
於朝夕之
大御食不參出來。
朝あした夕ゆふべの
大御食おほみけにまゐ出來でこざる。
朝夕の
御食事に出て來ないのだ。
專汝
泥疑
教覺。
もはら汝
みましねぎ
教へ覺せ」
と詔りたまひき。
お前が
引き受けて
教え申せ」
と仰せられました。
〈泥疑二字以音。
下效此〉
   
如此詔以後。 かく詔りたまひて後、 かように仰せられて
至于五日。 五日に至るまでに、 五日たつても
猶不參出。 なほまゐ出でず。 やはり出て來ませんでした。
     
爾天皇
問賜小碓命。
ここに天皇、
小碓の命に問ひたまはく、
そこで、天皇が
ヲウスの命にお尋ねになるには
何汝兄。
久不參出。
「何ぞ汝の兄
久しくまゐ出來ざる。
「どうしてお前の兄が
永い間出て來ないのだ。
若有未誨乎。 もしいまだ誨をしへずありや」
と問ひたまひしかば、
もしやまだ教えないのか」
とお尋ねになつたので、
     
答白。 答へて白さく、 お答えしていうには
既爲泥疑也。 「既にねぎつ」とまをしたまひき。 「もう教えました」と申しました。
     
又詔。
如何
泥疑之。
また
「いかにかねぎつる」
と詔りたまひしかば、
また
「どのように教えたのか」
と仰せられましたので、
     
答白。 答へて白さく、 お答えして
朝署
入廁之時。
「朝署あさけに
厠に入りし時、
「朝早く
厠かわやにおはいりになつた時に、
持捕
搤㧗而。
待ち捕へ
搤つかみ批ひしぎて、
待つていてつかまえて
つかみひしいで、
引闕
其枝。
その枝を
引き闕かきて、
手足を
折つて
裹薦
投棄。
薦こもにつつみて
投げ棄うてつ」
とまをしたまひき。
薦こもにつつんで
投げすてました」
と申しました。
兄姫弟姫と大碓小碓 古事記
中巻⑤
12代 景行天皇
ヤマトタケルの物語
②野蛮×獰猛=倭建
熊襲を襲撃