古事記 東国造:月日経る歌~原文対訳

アヅマの由来 古事記
中巻⑤
12代 景行天皇
倭建の歌物語
1 月日経る歌
月経の歌
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)
即自其國越。  すなはちその國より越えて、  その國から越えて
出甲斐

酒折宮之時。
甲斐に出でて、
酒折さかをりの宮に
まします時に
甲斐に出て、
酒折さかおりの宮に
おいでになつた時に、
歌曰。 歌よみしたまひしく、 お歌いなされるには、
     
邇比婆理 新治にひばり 常陸の新治にいはり・
都久波袁須疑弖 筑波つくはを過ぎて、 筑波つくばを過すぎて
伊久用加泥都流 幾夜か宿ねつる。 幾夜いくよ寢ねたか。
     
爾其
御火燒之老人。
 ここにその
御火燒みひたきの老人おきな、
 ここにその
火ひを燒たいている老人が
續御歌以歌曰。 御歌に續ぎて歌よみして曰ひしく、 續いて、
     
迦賀那倍弖 かがなべて 日數ひかず重かさねて、
用邇波許許能用 夜には九夜ここのよ 夜よは九夜ここのよで
比邇波登袁加袁 日には十日を。 日ひは十日とおかでございます。
     
  と歌ひき。 と歌いました。
     
是以譽其老人。 ここを以ちてその老人を譽めて、 そこでその老人を譽めて、
即給東國造也。 すなはち
東あづまの
國くにの造みやつこを給ひき。
吾妻あずまの國の造になさいました。
アヅマの由来 古事記
中巻⑤
12代 景行天皇
倭建の歌物語
1 月日経る歌
月経の歌