古事記 活玉依毘賣~原文対訳

大物主大神 古事記
中巻③
10代 崇神天皇
富多多泥古の出自
活玉依毘賣
三輪山の由来
原文 書き下し
(武田祐吉)
現代語訳
(武田祐吉)
此謂
意富多多泥古人。
所以知神子者。
 この
意富多多泥古といふ人を、
神の子と知れる所以ゆゑは、
 この
オホタタネコを
神の子と知つた次第は、
     
上所云
活玉依毘賣。
上にいへる活玉依
いくたまより毘賣、
上に述べた
イクタマヨリ姫は
其容姿端正。 それ顏好かりき。 美しいお方でありました。
於是有神壯夫。
其形姿威儀。
於時無比。
夜半之時。
焂忽到來。
ここに壯夫をとこありて、
その形姿かたち威儀よそほひ
時に比たぐひ無きが、
夜半さよなかの時に
たちまち來たり。
ところが形姿かたち
威儀いぎ竝ならびなき
一人の男が
夜中に
たちまち來ました。
     
故相感。
共婚
供住之間。
かれ相感めでて
共婚まぐはひして、
住めるほどに、
そこで互に愛めでて
結婚して
住んでいるうちに、
未經幾時。
其美人妊身。
いまだ幾何いくだもあらねば、
その美人をとめ姙はらみぬ。
何程もないのに
その孃子おとめが姙はらみました。
     
爾父母
恠其妊身之事。
 ここに父母、
その姙はらめる事を怪みて、
そこで父母が
姙娠にんしんしたことを怪しんで、
問其女曰。 その女に問ひて曰はく、 その女に、
汝者自妊。 「汝いましはおのづから姙はらめり。 「お前は自然しぜんに姙娠にんしんした。
無夫
何由妊身乎。
夫ひこぢ無きに
いかにかも姙はらめる」と問ひしかば、
夫が無いのに
どうして姙娠したのか」と尋ねましたから、
答曰。 答へて曰はく、 答えて言うには
有麗美壯夫。
不知其姓名。
「麗うるはしき壯夫をとこの、
その名も知らぬが、
「名も知らない
りつぱな男が
毎夕到來。
共住之間。
夕よごとに來りて
住めるほどに、
夜毎に來て
住むほどに、
自然懷妊。 おのづからに姙はらみぬ」
といひき。
自然しぜんに姙はらみました」
と言いました。
大物主大神 古事記
中巻③
10代 崇神天皇
富多多泥古の出自
活玉依毘賣
三輪山の由来