枕草子7段 思はむ子を法師に

同じこと 枕草子
上巻上
7段
思はむ子
大進生昌

(旧)大系:7段
新大系:4段、新編全集:5段
(以上全て三巻本系列本。しかし後二本の構成は2/3が一致せず、混乱を招くので、三巻本理論の根本たる『(旧)大系』に準拠すべきと思う)
(旧)全集=能因本:5段
 


 
 思はむ子を法師になしたらむこそ、いと心苦しけれ。ただ木の端などのやうに思ひたるこそ、いといとほしけれ。精進物のいとあしきをうち食ひ、寝ぬるをも、若きはものもゆかしからむ、女などのある所をも、などか忌みたるやうにさしのぞかずもあらむ、それをもやすからず言ふ。
 まいて、験者などはいと苦しげなめり。困じてうち眠れば、「ねぶりなどのみして」などもどかる、いと所せく、いかにおぼゆらむ。
 

 これは昔のことなめり。いまやうはやすげなり。