紫式部集74 夜もすがら:原文対訳・逐語分析

73槙の戸も 紫式部集
第七部
栄花と追憶

74夜もすがら
異本129:日記歌15
(古本巻末日記歌は日記と順不同)
75ただならじ
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
夜更けて戸を叩きし人、  夜が更けて局の戸を叩いた人が、 【戸を叩きし人】-藤原道長。
つとめて、 翌朝に、  
     
夜もすがら 一晩中 【夜もすがら】-この和歌は『紫式部日記』にも出ている。
水鶏よりけに 水鶏よりもはっきりと  
泣く泣くぞ 泣きながら  
槙の戸口に 槙の戸口を  
叩き侘びつる 叩きあぐねました  
     

参考異本=本人日記歌+後世の二次資料

*「よもすがらくひなよりけになくなくぞまきの戸ぐちにたたきわびつる」(黒川本「紫日記」一七)
*「夜ふけてつまどをたたき侍りけるに、あけ侍らざりければ、あしたにつかはしける  法成寺入道前摂政太政大臣
夜もすがらくひなよりけになくなくぞまきのとぐちにたたきわびつる」(樋口芳麻呂氏本「新勅撰集」恋五 一〇一九)