紫式部集25 ここにかく:原文対訳・逐語分析

24おいつ島 紫式部集
第二部
近江・越前

25ここにかく
26小塩山
原文
(実践女子大本)
現代語訳
(渋谷栄一)
注釈
【渋谷栄一】
暦に「初雪降る」と書きたる日、  暦に「初雪降る」と書いてある日、  
目に近き 目近に見える  
日野岳といふ山の雪、 日野岳という山の雪が、 【日野岳】-越前国府の東南にある標高約八百米の山。
いと深う見やらるれば、 たいそう深く積もっているように眺められるので、  
     
ここにかく ここ越前の国府にこのように  
日野の杉むら 日野山の杉むらを  
埋む雪 埋める雪は  
小塩の松に 都で見た小塩山の松に 【小塩】-小塩山は山城国の歌枕。標高約六百四十米の山。
今日やまがへる 今日は見まちがえることです  
     

参考異本=後世の二次資料

「ひのたけといふ山をみて  紫式部
 ここにかくひのの杉むらうづむ雪をしほの松にけふやまがへる」(静嘉堂文庫本「夫木和歌抄」雑十一 杉 一三九〇八)