原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人 要検討 |
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司馬牛憂 | 司馬牛しばぎう憂うれふ。 | 司馬牛が沈んだ顔をして |
曰 | 曰いはく、 | 子夏にいった。 |
人皆有兄弟 | 人ひと皆みな兄弟けいてい有あり、 | 「誰にも兄弟があるのに、 |
我獨亡 | 我われ独ひとり亡なし。 | 私だけにはない。」 |
子夏曰 | 子夏しか曰いはく、 | すると、子夏が慰めていった。 |
商聞之矣 | 商せう之これを聞きく、 | |
『死生有命 | 死生しせい命めい有あり、 | 「死生や |
富貴在天』 | 富貴ふうき天てんに在あり、 | 富貴は天命だときいているが、 |
兄弟に縁のうすいのも、やはり天命だろう。 | ||
君子敬而無失 | 君子くんしは敬けいして失うしなふこと無なく、 | おたがいに道に志して、心につつしみを持ちつづけ、 |
與人恭而有禮 | 人ひとと恭きようして礼れい有あらば、 | 礼をもって社会生活の調和を保って行くならば、 |
四海之內 | 四海しかいの内うち | 四海のいたるところに |
皆兄弟也 | 皆みな兄弟けいていたり。 | 兄弟は見出せるではないか。 |
君子 | 君子くんし | 道に志す者が |
何患乎無兄弟也 | 何なんぞ兄弟けいてい無なきを患うれへん。 | 何で肉親の兄弟に縁のうすいのをくよくよ思う必要があろう。」 |