原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人 要検討 |
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樊遲 從 遊於 舞雩之下 |
樊遲はんち 從したがひて 舞雩ぶうの下もとに 遊あそぶ。 |
樊遅はんちが 先師のお伴をして 舞雩ぶうのほとりを 散策していた。 |
曰 | 曰いはく、 | 彼はたずねた。 |
敢問 崇德 修慝 辨惑 |
敢あへて 徳とくを崇たかうし 慝とくを脩をさめ 惑まどひを弁べんずる を問とふ。 |
「生意気なおたずねをするようですが、 徳を高め、 心の奥深くひそんでいる悪をのぞき、 迷いを解くには、 |
どうしたらよろしうございましょうか。」 | ||
子曰 | 子曰く、 | 先師がこたえられた。 |
善哉問 | 善よきかな問とひや。 | 「大事な問題だ。 |
先事後得 | 事ことを先さきにして得うるを後のちにするは、 | 為すべき事をどしどし片付けて、損得をあとまわしにする。 |
非『崇德』與 | 徳とくを崇たかうるに非あらずや。 | これが徳を高くする道ではないかね。 |
攻其惡 | 其その悪あくを攻せめて、 | 自分の悪をせめて |
無攻人之惡 | 人ひとの悪あくを攻せむる無なきは、 | 他人の悪をせめない。 |
非『修慝』與 | 慝とくを脩をさむるに非あらずや。 | これが心に巣喰っている悪をのぞく道ではないかね。 |
一朝之忿 | 一朝いつてうの忿いかりに、 | 一時の腹立ちで |
忘其身 | 其その身みを忘わすれて、 | 自分を忘れ、 |
以及其親 | 以もつて其その親しんに及およぼすは、 | 災を近親にまで及ぼす。 |
非『惑』與 | 惑まどひに非あらずや。 | これが迷いというものではないかね。」 |