原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人 要検討 |
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宰我問 | 宰我さいが問とふ。 | 宰我さいがが先師にたずねた。 |
曰 | 曰く、 | |
仁者 | 仁者じんしやは | 「仁者は、 |
雖吿之曰 『井有仁焉』 |
之れに告つげて 井ゐどに仁じんありと曰ふと雖いへども、 |
もしも井戸の中に人がおちこんだ といって、だまされたら、 |
其從之也 | 其れ之れに從したがはんや。 | すぐ行ってとびこむものでしょうか。」 |
子曰 | 子曰く、 | 先師がこたえられた。 |
何爲其然也 | 何為なんすれぞ其れ然しからん。 | 「どうしてそんなことをしよう。 |
君子 可逝也 |
君子くんしは逝ゆかしむ可し、 | 君子はだまして井戸まで行かせることは出来る。 |
不可陷也 | 陥おとしいる可べからざるなり。 | しかし、おとし入れることは出来ない。 |
可欺也 | 欺あざむく可べし、 | 人情に訴えて欺くことは出来ても、 |
不可罔也 | 罔しふ可からざるなり。 | 正しい判断力を失わせることは出来ないのだ。」 |
○ 宰我は「仁者」といい、孔子は「君子」といつているが、ここでは同じ意味である。
ただ宰我は、仁者の情深さという点だけを頭に置いてたずねており、孔子はそのあらゆる面を頭において答えているのである。