原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人 要検討 |
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佛肸召 | 佛肸ひつきつ召よぶ、 | 仏肸ひつきつが先師を招いた。 |
子欲往 | 子し往ゆかんと欲ほつす。 | 先師はその招きに応じて行こうとされた。 |
子路曰 | 子路しろ曰いはく、 | すると子路がいった。 |
昔者 由也 聞諸夫子 |
昔むかし 由いうや 諸これを夫子ふうしに聞きく、 |
「かつて私は先生に、 |
曰 | 曰く、 | |
『親 於其身 爲不善者 |
親みづから 其身そのみに於おいて 不善ふぜんを為なす者ものは、 |
君子は、 自分から進んで 不善を行うような |
君子 不入也』 |
君子くんしは 入いらざるなりと。 |
人間の 仲間入りはしないものだ、と 承ったことがあります。 |
佛肸 以中牟 畔 |
佛肸ひつきつ 中牟ちうぼうを以もつて 畔そむけり。 |
仏肸ひつきつは、 中牟ちゅうぼうに占拠して 反乱をおこしている人間ではありませんか。 |
子之往也 | 子しの往ゆくや、 | 先生が、そういう人間の招きに応じようとなさるのは、 |
如之何 | 之これを如何いかん。 | いったいどういうわけでございます。」 |
子曰 | 子曰く、 | 先師がいわれた。 |
然 | 然しかり、 | 「さよう。 |
有是言也 | 是この言げん有あるなり、 | たしかに私はそういうことをいったことがある。 |
不曰堅乎 | 堅かたしと曰いはずや、 | だが、諺にも、ほんとうに堅いものは、 |
磨而不磷 | 磨ますれども磷りんせず、 | 磨すっても磨ってもうすくはならない、 |
不曰白乎 | 白しろしと曰いはずや、 | ほんとうに白いものは、そめてもそめても黒くはならない、というではないか。 |
涅而不緇 | 涅でつすれども緇しせず。 | 私にもそのぐらいの自信はあるのだ。 |
吾豈 匏瓜 也哉 |
我われ豈あに 匏瓜ほうくわ ならんや、 |
私を あの匏ふくべのような 人間だと思ってもらっては困る。 |
焉 能繫而 不食 |
焉いづくんぞ 能よく繫かゝりて 食くらはれざらん。 |
食用にもならず、 ただぶらりとぶらさがっているあの匏ふくべのような人間―― どうして私がそんな無用な人間でいられよう。」 |