原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人 要検討 |
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子 | 子し、 | 先師が |
之武城 | 武城ぶじやうに之ゆき、 | 武城ぶじょうに行かれた時、 |
聞弦歌之聲 | 弦歌げんかの聲こゑを聞きく、 | 町の家々から弦歌の声がきこえていた。 |
夫子 莞爾而笑 |
夫子ふうし 莞爾くわんじとして笑わらふ、 |
先師は にこにこしながら |
曰 | 曰く、 | いわれた。 |
割雞 焉用牛刀 |
雞にはとりを割さくに、 焉いづくんぞ牛刀ぎうとうを用ひん。 |
「雞を料理するのに、 牛刀を使う必要もないだろうにな。」 |
子游 對曰 |
子游しいう 対こたへ曰いはく、 |
で、子游は 先師にそういわれると、けげんそうな顔をしていった。 |
昔者偃也 | 昔むかし偃えんや、 | 「以前私は、 |
聞諸夫子 | 諸これを夫子ふうしに聞きけり、 | 先生に、 |
曰 | 曰く、 | |
『君子學道 | 君子くんし道みちを学まなべば、 | 上に立つ者が道を学ぶと |
則愛人 | 則すなはち人ひとを愛あいし、 | よく人を愛し、 |
小人學道 | 小人せうじん道みちを学まなべば、 | 民衆が道を学ぶと |
則易使也』 | 則すなはち使つかひ易やすきなりと。 | よく治まる、とうけたまわりましたが……」 |
子曰 | 子曰く、 | すると、先師は、 |
二三子 | 二三子にさんしよ、 | お伴をしていたほかの門人たちをかえりみて、いわれた。 |
偃之言是也 | 偃えんの言げん是ぜなり、 | 「今、偃えんがいったことはほんとうだ。 |
前言戲之耳 | 前言ぜんげんは之これに戲たはむれたるのみ。 | 私のさっきいったのは、じょうだんだよ。」 |