原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人 要検討 |
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子曰 | 子曰く、 | 先師がいわれた。 |
惡 紫之 奪朱也 |
紫むらさきの 朱あけを奪うばふを 悪にくむ。 |
「私は紫色が 朱色を圧して×流行しているのを 憎む。 |
【下村説は色の流行とするが、 位階を乱す象徴表現と解す。独自】 |
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惡 鄭聲之 亂雅樂也 |
鄭聲ていせいの 雅楽ががくを乱みだるを 悪にくむ。 |
鄭声ていせいが 雅楽ががくを乱しているのを 憎む。 |
惡 利口之 覆 邦家者 |
利口りこうの 邦家はうかを 覆くつがへすを 悪にくむ。 |
そして、口上手な人が 国家を 危くしているのを 最も憎む。」 |
○ 紫・朱=当時朱は正色として貴い色とされ、紫は間色で、いやしい色とされていた。然るに、紫のなまめかしさを愛する者が多く、次第に朱を圧して着物の流行色となつていたのである。
○ 鄭声=鄭の音楽。極めて淫猥なものであつた。
○ 楽雅=正しい音楽。