論語17-13 子曰 郷原徳之賊也:原文対訳

穿窬之盗 論語
陽貨第十七
13
徳之賊也
徳之棄也
原文 書き下し
漢文叢書
現代語訳
下村湖人
要検討
子曰 子曰く、  先師がいわれた。
鄕原 郷原きようげんは 「郷党のほめられ者の中には、得てして、
德之賊也 徳とくの賊ぞくなり。 道義の賊がいるものだ。」

  

下村湖人による注釈

 
○ 原文「郷原」の「原」は「愿」に同じ。「愿」は謹厚を意味する。ここでは、周囲の人々に調子を合せ、批難をうけないように細心の注意を払つている人。日本の田舎でも、人格者などといわれている人の中に、こうした種類の人がよくあるものである。いや田舎だけではない、行政官などの中にも、こうした意味での謹直型の人は決して少くはないだろう。「郷原は徳の賊なり」――この言葉は、日本の各方面にもつと広く流布されてもいい言葉ではあるまいか。