原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人 要検討 |
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子曰 | 子曰く、 | 先師がいわれた。 |
參乎 | 參しんか、 | 「参しんよ、 |
吾道 一以 貫之 |
吾わが道みちは 一いつ以もつて 之これを貫つらぬく。 |
私の道は ただ一つの原理で 貫かれているのだ。」 |
曾子曰 | 曾子そうし曰く、 | 曾先生が答えられた。 |
唯 | 唯い。 | 「さようでございます。」 |
子出 | 子し出いづ。 | 先師はそういって室を出て行かれた。 |
門人 問曰 |
門人もんじん 問とふ、曰いはく |
すると、ほかの門人たちが 曾先生にたずねた。 |
何謂也 | 何なんの謂いひぞや。 | 「今のは何のことでしょう。」 |
曾子曰 | 曾子そうし曰いはく、 | 曾先生は答えていわれた。 |
夫子之道 | 夫子ふうしの道は、 | 「先生の道は |
忠恕 而已矣 |
忠恕ちうじよ のみ。 |
忠恕の 一語につきるのです。」 |
※本章は紀貫之の名前の由来と解すべきもので、古事記で「論語十卷」の伝来が記され、貫之もほぼ確実にこの章を読んでいる。曾子の発音は Zēngzǐ(つまり貫之と曾子は対。立ち位置も同じと言っていい)。