論語7-1 子曰述而不作信而好古:原文対訳・解説

仁者 論語
述而第七
1
信而好古
学而不厭
原文 書き下し
漢文叢書
現代語訳
下村湖人
要検討
子曰 子曰く、  先師がいわれた。
述而
不作
述のべて
作つくらず、
「私は古聖の道を伝えるだけで、
私一箇の新説を立てるのではない。
信而
好古
信しんじて
古いにしへを好このむ。
古聖の道を信じ
愛する点では、

比於
老彭
窃ひそかに
我わが老彭らうはうに
比ひす。
私は心ひそかに
自分を老彭ろうほうにも
劣らぬと思っているのだ。」
仁者 論語
述而第七
1
信而好古
学而不厭

下村湖人による注釈

 

老彭
殷(いん)の賢大夫。

 
○ この一節によつて孔子を頑固な保守主義者と断定するのは当らない。孔子が「古」というとき、それは常に彼自身の理想と信念との表現に外ならなかつたのである。なるほど彼は堯舜の時代を讃美した。しかし彼が説くところの、その時代の文化内容は、必ずしも歴史的事実ではなく、彼の理想を仮托するための彼自身の創作であり、孔子あつてはじめて堯舜の時代は理想的時代といわれるようになつたともいえるのである。