| 原文 |
書き下し 漢文叢書 |
現代語訳 下村湖人 要検討 |
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子謂 顏淵 曰 |
子し 顏淵がんゑんに謂いひて 曰く、 |
先師が 顔渕に向って いわれた。 |
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用之 則行 |
之れを用もちふれば 則すなはち行おこなひ、 |
「用いられれば、 その地位において堂々と道を行うし、 |
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舍之 則藏 |
之れを舍おけば 則すなはち蔵かくる。 |
用いられなければ、 天命に安んじ、退いて静かに独り道を楽む。 |
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惟 我與爾 有是夫 |
唯たゞ 我われと爾なんぢと 是これ有あるか。 |
こういった出処進退が出来るのは、 まず私とお前ぐらいなものであろう。」 |
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子路 曰 |
子路しろ 曰く、 |
すると子路が はたからいった。 |
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子 行三軍 |
子し 三軍ぐんを行やらば、 |
「もし一国の軍隊をひきいて、いざ出陣という場合がありましたら、 |
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則 誰與 |
則すなはち 誰たれと与ともにせん。 |
先生は誰をおつれになりましょうか。」 |
| 子曰 | 子曰く、 | 先師はこたえられた。 |
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暴虎 馮河 |
暴虎ばうこ 馮河ひようかし、 |
「素手すでで虎を打とうとしたり、 徒歩で大河をわたろうとしたりするような、無謀なことをやって、 |
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死而 無悔者 |
死しして 悔くゆることなき者ものは、 |
死ぬことを 何とも思わない人とは、 |
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吾 不與也 |
吾われ 与ともにせざるなり。 |
私は 事を共にしたくない。 |
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必也 臨事而 懼 |
必かならずや 事ことに臨のぞんで 懼おそれ、 |
私の参謀には、 臆病なぐらい用心深く、 |
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好謀而 成者也 |
謀はかりごとを好このんで 成なる者ものなり。 |
周到な計画のもとに 確信をもって仕事をやりとげて行くような人がほしいものだ。」 |
○ 原文の「行」と「蔵」とは合して「行蔵」という熟語となり、現在でも出処進退の意に用いられることがある。
また「暴虎馮河の勇」という熟語もしばしば用いられている。
○ 子路は孔子の答をきいて、おそらく、虎をうちそこねて崖から真逆さまに落ちて行くような気がしたであろう。