論語2-20 季康子問使民敬忠以勸:原文対訳・解説

民不服 論語
為政第二
20
季康子
不為政
原文 書き下し 現代語訳
下村湖人
季康子
季康子きかうし
問とふ、
 大夫の季康子きこうしが
たずねた。
使民
敬忠
以勸
如之何
民たみをして
敬忠けいちう
以もつて勧すゝましむるには
之これを如何いかん。
「人民をして
その支配者に対して敬意と忠誠の念を抱かせ、
すすんで善を行わしめるようにするためには、
どうしたらいいでしょうか。」
     
子曰 子曰く、  先師はこたえられた。
臨之
以莊
則敬
之れに臨のぞむに
荘さうを以もつてすれば、
則すなはち敬けいす、
「支配者の態度が
荘重端正であれば
人民は敬意を払います。
孝慈
則忠
孝慈かうじなれば、
則すなはち忠ちう、
支配者が親に孝行であり、
すべての人に対して慈愛の心があれば、
人民は忠誠になります。
擧善而
敎不能
則勸
善ぜんを挙あげて
不能ふのうを教をしふれば
則ち勧すゝまん。
有徳の人を挙げて、
能力の劣った者を教育すれば、
人民はおのずから善に励みます。」

 
※この発言はまず民の模範となれ(それができていない)という諫言。
日本的には正面から喧嘩を売っている喧嘩上等発言で、政府要職の面前でこうした発言ができる御用学者はいないだろう。
日本は国土が狭く、顔色を窺って発言するのが美徳とされているからと擁護しておく。
 

民不服 論語
為政第二
20
季康子
不為政

下村湖人による注釈

 

季康子
魯の大夫で、季孫家の主。驕慢で失政の多かつた人である。